2015年7月30日木曜日

柿渋下地の方法論(下地法について:その2)

ここ数日、クーラー無しの仕事場は暑さとの闘いであります。
今月も何とか無事ブログをアップする事ができました、、、、。
本日は下地、下地法について:その2を考えてみようと思います。前回漆器の下地について、器物の寿命が大きく左右されとても大事な仕事云々と記しましたが、今回論じる下地法もまた手仕事の本質なのであります。
工芸は大量複製時代の芸術とは大変遠いところのモノなので、基本的には「一品性」というのも、「量産性」というのも、どちらも本質的な事実なのですが、食器というものを考えた場合「実用性」が第一にあらねばなりません。実用とは、消費を意味し量産性が土台になければなりません。実用のための器、実用第一の器を作る為には、手間を省いた正直な仕事が必要となります。その典型が今回論じる柿渋による下地法なのだろう、とそんな風に考えております。

文明開化以前の柿渋下地の皿
柿渋下地は歴史的には大変古くから存在する方法なのだそうです。僕が昨日調べたテキストも何を根拠にそう書いているのか不明瞭でした。そういった出土品等の証拠が存在するのかもしれませんが、とにかく平安時代末期にまで遡行する下地法なのだそうです。戦後までその手法が全国的に行われていた事を考えると、約800年間続いた下地法となるのです、、、、。といっても手工芸の歴史は点綴的なので、脈々と続いていたかどうかは怪しいところなのですが。因みにウィキペディアで「柿渋」を調べてみると、
「文献で最初に記載されるのは10世紀頃であり、漆の下塗りに使用された記録が残っている。また衣類に使用されたのは平安時代の下級侍が着ていた柿衣がその始まりとされる」と書かれております。どういった文献に書かれていたのか分かりませんが、何かしらの記録が存在する、と考えられます。どちらにしても工芸の手法の歴史を調べてゆくことは大変難しい事ですし、情報を信じるかどうかは個人の主観の問題なのかもしれません。とりあえず、古い、伝統的な手法と、そんな感じで今回は断言してみようかと思います。
ミゴ刷毛
それで、そんな柿渋下地とはどんな手法かといいますと、、、、
1 まず、8月下旬に玉柿を採りそれを臼と杵で砕いて桶に入れ、上から少量の水を加えよく攪拌して発酵させ柿渋を作ります。
2 出来上がった柿渋に炭粉と少量の松煙を入れ下地剤を作ります。
3 その下地剤を上画像のミゴ刷毛にて木地に塗付してゆきます。乾燥後に砥石に柿渋をつけながら木地を研ぎ慣らしてゆきます。数回ミゴ刷毛、研ぎ慣らし、を繰り返して下地完成。
4 上塗り
5 完成
と、かなり効率的な手法なのです。工程数が極端に少ないうえに漆を使用しない下地なので比較的に技術的な熟練も不要なのです。そしてそこそこ木地と漆の層との食いつきも良く、まずまずの強度があり尚且つ安価に仕上げる事ができるのです。
といってもやっぱり漆器なのでそこそこ値の張る品物だった様に思います。
なぜなら昨日読んだ本には安価な柿渋下地の漆器の登場で土師器の需要と入れ替わった。と、そんな風に書かれていたからです。安価だからではなく、その生産性と使い勝手の良さが需要を拡大させた大きな理由だと思われます。

皿裏
それで、そういった柿渋下地の漆器があるとき廃れてゆくことになります。なぜなら貨幣経済が巨大化するにつれ商品としての見栄えや抽象的普遍性が求められるようになるからです。
商品として、もっと綺麗に仕上げることが求められ、素材の味や手仕事の痕跡が見えない、もしくは捏造された物がもてはやされる様になってゆきます。そういった時代の風潮に打ち勝つ事のできない柿渋下地の漆器はやがて消えていく事になるのです。
工芸は常に具体的で人々の生活の一部であると僕は思っております。象徴的抽象性とは正反対のモノであると、そう強く繋辞するのであります。


漆絵の数々
以上、下地法その2でした。

2015年7月17日金曜日

蛇腹きゅうりのピクルス(保存期間:要冷蔵で7日)


具現的公共性としての思想を形成する為の何物かの破片となる事を目的とするための情報という事実を掲示するためのグログを、、、、、、、と、いうか、毎日のいろいろな事々を記すにしても、少しでも何かに役立つ様なそんな風に考えております。
で、、、先日我が家のポストに消費社会の象徴、フリーペーパーなる物が届られておりました。別に読むでも無く、冊子の写真を見るでも無く、ただ機械仕掛けの様にペラペラとめくっていくとペラ47ページあたりに「変幻自在レシピ」という書付が、、、、。オヤッと思ったので機械仕掛けペラペラを途中で中止して、記事を黙読。空っぽの僕のお財布でも買い揃えられる食材ではないか、、、。とそう直感したのであります。
そして作ってみました。じゃばらきゅうりのピクルス。作り方は下の画像となっております。

作り方その1
作り方その2



出来上がり。
そして盛り付けてみました。じゃばらに切り込みを入れると味の染み込みも早いようで一緒につけたミョウガはちょっと薄味。ソーメン等の付合せには良いのでは、と思いました。

置きレンゲに盛り付けてみました。


別アングルから

幅6センチ 長さ13センチ
以上、具現的公共性としての思想を形成するちょっとした料理のご報告でした。

2015年7月11日土曜日

クロスプロセス

勝常地裏
昨日今日と、とても熱い、、、ので、仕事場の近所といっても車で10分位、自転車で20分位、歩きで1時間位の距離の重要文化財、勝常寺へ行ってきました。
建物自体は室町時代の建造物。元々のお寺は11世紀初期に造られたのだそうです。その造型を接写するのが目的なのであります。何故ならば先日カメラ屋さんで1000円均一コーナーにてカメラレンズを買ったので、何か撮らずにはいられない、、。とそんな衝動に駆られ仕事の合間にフラフラっと行ってはみたものの、やっぱりその古色感、重要文化財という箱書き、そしてここの秘仏は国宝でそれが下の画像の伽藍の中に存在するのだ、、、と思うと古玩好きの血がグラグラと沸立ち、とてもカメラの試し撮りどころか、わなわなしながら呆然と立ちつくしてしまうのでございます。

正面側の写真

礎石部分

巨大なお寺なので50ミリレンズでは、なかなか撮影が困難。

正面

1000年近く前お寺の中を彷徨いながら思ったのは、やっぱり夏は喉が乾く、早く戻ってお茶でも飲もう、、、。という事が今日一日考え抜いた曇りのない思考なのでした。

やっぱり美味しいお茶には蕎麦ちょこ。なのかも、、、

別角度から。

4寸薄手の茶托でございます。

2015年7月5日日曜日

シュガーまま

先日の仕事場の様子です。

ここ2、3日ラヂヲから発する音楽なのですが、シュガーママという曲がございます。何やらレッドツェッペリンなる集いの方々の演奏らしいのですが(ロック)という演奏技法を用いているのだそうです。ジミーさんという弦楽担当の方の作曲らしいのですが、ピョンピョン跳ねた感じの太鼓の音と乾燥した何物かを想像させる弦楽器の音色を聞いているうちに何か、たしからしい考えが屹立したのでありました。
ああそうだ、、、、カリカリに焼けたトーストの上にタラモサラダのせて食べたい。

タラモサラダ
、、、、という事でタラモサラダ作ってみました。
作り方を調べてみると思ったより簡単に作れる事が解かり、又もや酒飲みの事が脳裏をよぎるのであります。
作り方は茹でたジャガイモをすりつぶし、マヨネーズ、ガーリックオイル(ニンニク、唐辛子、少量のアンチョビペーストをオリーブオイルで常温から加熱しグラッと来たら火を止め冷まして出来上がり)を混ぜて粗熱が無くなりある程度冷めたらタラコとサラミソーセージ少々を入れよく混ぜて出来上がり。
と凄く簡単なのであります。取り立てて塩味はつけない方が良い様に思います。なぜならガーリックオイル内のアンチョビの塩気とタラコの塩気が充分塩辛い為。

栃のサラダボールに盛り付け。

別角度から
レッドツェッペリンを聞きながら美味しくいただきました。

サラダボール。栃材の拭き漆
サラダボールは栃の刳りものとなっております。ノミ痕を生かすべく拭き漆の仕上となっており、ノミ痕を残したままの仕上がりの為サラダの具材等が滑りにくくサラダサーバーで野菜をキャッチしやすくする事を考えて作ってみました。

裏面

直径約26センチ
と、本日のメニューでございました。